「布団大きいんやし、独り占めせんといて。ってか服返して」
「か、返すからとりあえずローブとってきてよ!」
響輔のむき出しの上半身が視界に入り、あたしは顔から火を噴きそうだった。
「我儘な女やな」
と響輔は呆れ顔でベッドを降りようとする。
「あ、クローゼットに入ってるから」
あたしが慌てて響輔の腕を掴むと、
「クローゼット?どこや」
と響輔はきょろきょろ。
「分かりづらいけど、あそこの壁」
「壁?どこ?」
「あそこだって!あんたその大きな目で何を見てんのよ!」
「それが人に物を頼む態度やないやろ」
ああ…激しくいつも通りだわ。せっかく二人で過ごした…(ベッドで一緒に寝ただけだけど)甘い朝だって言うのに…
すぐ喧嘩?…ってか言い合いになっちゃうの。
「あそこだって!」
あたしが響輔の腕をぐいと引っ張ると、油断していたのか響輔が後ろに倒れた。
ドサッ
「ぅわ」
と声をあげてベッドに逆戻り。ついでにあたしも響輔につられるようにベッドに重なった。
「…ったく、なんやの…」
と響輔はブツブツ。迷惑そうに顔をしかめている。
「それはこっちの台詞よ。あたしを巻き込まないでよ」
と睨み降ろして気付いた。
あたし……傍から見たら響輔を押し倒してる!?…ように見える。



