考えてみれば戒がこんな早くに起き出して来るわけないんだ。
だけどやっぱ声が似てるんだよな。
ってか間違えるの、これで三度目じゃね??
いい加減学習しろよ、あたし……
でも―――
戒じゃなくて良かった。
そのことに少しだけ安心する。
なんつぅか、昨日の今日で気まずいし、それに何より生理だと知られることがすごく恥ずかしかった。
キョウスケに知られるのも恥ずかしいけど。
でもこいつはあたしより大人だし、その辺うまく察知してくれるだろう。
「探し物ですか」
キョウスケは無表情に言って、あたしの元に歩いてきた。
鎮まりかえった台所に、キョウスケの裸足の足音だけがやけに大きく響く。
「ああ……うん…。てかお前あんまり今あたしに近寄らない方がいいよ。いつもにも増して凶暴だから」
一応釘を差してみると、
「…凶暴?お嬢はいつも凶暴ですよ。でも、ああ……」
と納得したように頷いた。
てかいつも凶暴って。だけど否定できないあたし。
しかしキョウスケ…何を納得したんだよ。
「鎮痛剤の買い置き……確かこの棚に入ってた筈ですよ」
キョウスケはあたしが探していた別の棚から薬の箱を取り出した。
長方形の箱を手渡されて、
「……ありがとよ…」
やっぱり恥ずかしくて、あたしは俯いた。



