「謝りたかったけど、何て謝ればいいのか分からなかった」
窓の下に二人で肩を並べて座り、戒は恥ずかしそうにそっぽを向きながらぽつりと漏らした。
「そんなん“ごめん”一言でいいだろ?何でそんな小せぇことで悩むんだよ」
あたしは思わず苦笑。
「タイミングとか、謝り方とか、あるだろ?
あいつ……龍崎 琢磨だったらもっとスマートにすっげぇかっこよく謝るんだろうな。
んでもって朔羅のお怒りなんてあっという間に解いちまうんだろうな。なんて考えてた」
タイミング、謝り方……
叔父貴は
『俺の方こそごめん』
そう言って悲しそうに笑っていた。
あれは
花火大会の日、青龍会本部であたしが叔父貴に拳を向けたとき。
動揺と混乱しているあたしを安心させるため、悲しいはずなのにわざと笑顔を作って
「ごめん」
と。
それをスマートと言うのかどうか分からない。
だけど謝られると謝られるほど、あたしが叔父貴を傷つけていることを思い知る。



