ベッドに潜り込んで、無理やり目を閉じたけど、眠りは一向にやってこなかった。
うつらうつらと瞼が重くなったと思うと、
唐突に目が覚める。
さっき見た叔父貴の切なそうな顔が目の裏に浮かんで、
はっとなった。
「朔羅―――」
叔父貴に名前を呼ばれた気がして、辺りをきょろきょろしても当然居るわけでもなく、
もう一度目を閉じると、
「―――朔羅……」
今度は戒の声が聞こえてきたような気がして、再び目を開ける。
そんなことを繰り返して、とうとう朝になっちまった。
―――…
「う゛ー…」
睡眠不足と生理痛のためヨロヨロと這いずるように台所に向かうと、あたしは唸りながら食器棚の引き出しを漁った。
まだ朝早い。組のもんは昨夜遅くまで働いていたわけだし、今日は日曜日だ。
みんなおねんね中で、家全体がしんと静まり返っていた。
昨夜の騒がしいほどの賑やかさが嘘のようだ。
「バッッファリン……」(←※正しくはバファリンです)
ごそごそと鎮痛剤を探していると、
「おはようございます」
唐突に背後から声を掛けられ、びくぅ!と肩が揺れた。
この声……
戒―――……?
そろりと振り返ると、
寝起き姿のキョウスケが台所の入り口に突っ立っていて、
あたしは目をまばたいた。



