「ちょっと、何だよ。俺はそんな趣味ねぇっつの」
と顔をしかめると、琢磨さんは大またに俺に近づいてきて、
パシッ
何が何だか分からずに居る俺の口を、その大きな手のひらで塞ぐように覆った。
―――はぁ!?
逆手で口を塞がれて、俺は背中を壁に押し付けられた。琢磨さんが顔を寄せてくる。
い、いやいやいやいや…
何の冗談だよ!勘弁してよ!!
と、目を開いていると
琢磨さんは俺の耳元に顔を寄せて小声で囁いた。
「いいか、一度しか言わないから良く聞けよ」
ドスを含ませた低い声が真剣さを物語っていたし、大体こいつが俺に冗談なんて言ったことない。
俺はとりあえず無言で頷いた。
言いたいこと。ってのは大体検討がついてる。
朔羅に手を出すな―――ってことだよな。
だけど龍崎 琢磨が言いたいことってのは、俺の予想とは
違った。
「玄武会の殺し屋、スネークが動いている」



