。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




扉を開けて強引に覗き込むと、


胸元が開いてるって…そんなに開いてないじゃんかよ。


俺はちょっとがっかり。


俺があげたキャミワンピと同じぐらいだ。


だけど


「すっげぇ似合ってんじゃん!♪」


てか可愛いし!


黒のキャミワンピ風ドレスは朔羅に良く似合っていた。


良く考えず適当に手渡したドレスだったが、


胸元に大小さまざまな形のビジューが飾られてあって、裾は黒いふわふわのチュールレースがふんだんに使ってある。


裾にきらきらしたスパンコールが派手じゃないぐらいに縫い付けてあった。


「あら、いいじゃないですか。お似合いですよ」


キリさんもフィッティングを覗き込み、朔羅はちょっと悩むようにむ゛~と鏡の前で顔をしかめている。


「ギリ紋が見えないくらいだよな。これ以上開いてたら無理」


とちょっとドレスの胸元を上げて俺にそっと耳打ちしてくる朔羅。


まぁ、そうだよな。


「お前は太ももの内側だから、見られる心配もないよな」


朔羅はまたも小声で囁いて笑う。


「朔羅、忘れてないかい?


俺の背中に、龍の紋より見られてはいけない代紋背負ってんだよ?」


「は!そーだった!!」


てかそんな大事なこと忘れるなよ。


なんてやり取りをしているときに、


「戒。おめぇの採寸の番だ。こっち来い」


琢磨さんに呼ばれて俺は、すでに採寸を終えた響輔と手を合わせて、タッチ交代。


「響輔、頼んだぞ」


「ごゆっくりどうぞ」


響輔は口の端で笑い、ドレスを試着した朔羅の方を眺める。


くそっ!響輔め!!


早く終わらせてやるからなっ!!