扉を開けて強引に覗き込むと、
胸元が開いてるって…そんなに開いてないじゃんかよ。
俺はちょっとがっかり。
俺があげたキャミワンピと同じぐらいだ。
だけど
「すっげぇ似合ってんじゃん!♪」
てか可愛いし!
黒のキャミワンピ風ドレスは朔羅に良く似合っていた。
良く考えず適当に手渡したドレスだったが、
胸元に大小さまざまな形のビジューが飾られてあって、裾は黒いふわふわのチュールレースがふんだんに使ってある。
裾にきらきらしたスパンコールが派手じゃないぐらいに縫い付けてあった。
「あら、いいじゃないですか。お似合いですよ」
キリさんもフィッティングを覗き込み、朔羅はちょっと悩むようにむ゛~と鏡の前で顔をしかめている。
「ギリ紋が見えないくらいだよな。これ以上開いてたら無理」
とちょっとドレスの胸元を上げて俺にそっと耳打ちしてくる朔羅。
まぁ、そうだよな。
「お前は太ももの内側だから、見られる心配もないよな」
朔羅はまたも小声で囁いて笑う。
「朔羅、忘れてないかい?
俺の背中に、龍の紋より見られてはいけない代紋背負ってんだよ?」
「は!そーだった!!」
てかそんな大事なこと忘れるなよ。
なんてやり取りをしているときに、
「戒。おめぇの採寸の番だ。こっち来い」
琢磨さんに呼ばれて俺は、すでに採寸を終えた響輔と手を合わせて、タッチ交代。
「響輔、頼んだぞ」
「ごゆっくりどうぞ」
響輔は口の端で笑い、ドレスを試着した朔羅の方を眺める。
くそっ!響輔め!!
早く終わらせてやるからなっ!!



