「外は暑かったでしょう?お飲み物をどうぞ」


と店主はアイスティー入りのグラスをたくさん乗せたトレーを運んできた。


「服屋なのに飲み物!?喫茶店か!」


と小声で突っ込みながらもグラスを受け取る朔羅。


同じようにグラスを受け取った響輔が、


「お嬢、俺ガムシロ使わないんで、俺の分もどうぞ」


とさりげなくガムシロのパックを朔羅に手渡していた。


「マジで?サンキュ~♪」


は!出遅れたっ!!


フェミ響輔め!!さりげに点数稼ぎしやがって!


じりじりと響輔を睨んでいると、響輔はちょっと勝ち誇ったようにふふんと笑った。


くっそう、ライバルたちめ。


クスッ


少し離れた場所で、キリさんが笑い声を漏らし俺を見ていた。


まるで何でも見透かされているようなあの色っぽい笑顔に、


俺は慌てて視線を逸らした。




―――



キリさん……響輔は警戒してたみてぇだけど、


何でだろう。


まぁ多少謎めいてはいるが、響輔が警戒する理由が分からなかった。


それでも、俺はキリさんの動向を探るように彼女から目を離さなかった。


キリさんは今、朔羅に一着のドレスを手渡して、


「朔羅さんは色が白いから、きれいなピンクが似合うと思いますよ?」


と言ってにこにこ。


う~ん…何か企んでるようには見えん。


俺にはドクターの女、彩芽さんの方がよっぽど怪しくて、よっぽど気になるが。