店の中はこざっぱりとしていてきれいだった。


洋服店に居る、と言うより何か美術館にいるような気分だ。


白い壁に良く分からない派手な色使いの絵画が飾ってある。


二階分を吹き抜けにした、店にしちゃ随分贅沢な作りの高い天井から変ったデザインの照明がぶら下がっていた。


俺なんて想像もできないぐらい高価な値がつくんだろうな、その洋服たちがずらりと並べられている。


俺が行く洋服のショップとは全然違う。


龍崎 琢磨はこんなところで毎回買い物してるのかよ。



目を細めて琢磨さんを見る。


確かにセンスは良いと思う。お洒落っての??(認めたくないがな)





足のつま先から頭のてっぺんまで


憎らしいほど洗練されていて、


男の色気っての?漂っている気がする。



ちょっと離れた場所で朔羅がぼんやりと琢磨さんの様子を眺めていた。


朔羅の目には、琢磨さんはどう映るのだろうか。






―――俺は―――龍崎 琢磨に勝てるだろうか。






その琢磨さんは店長だと思われる男と挨拶をしていた。


むき出しの螺旋階段の壁に、長細い窓があってそこから陽光が差し込んでいる。


その光が琢磨さんの影を作る。


白い床に琢磨さんの影が伸びていて、俺の足元まで続いていた。


一瞬、避けそうになったが、


思い留まって、一歩前に進み出た。







勝てる、勝てないじゃない。



俺は勝ってみせる。




俺はあんたを





追い越してみせる。







覚悟しいや。