―――夜が更けていく。


人工的な花火の色で染められていた、不自然なほど明るい夜は闇の支配を受け入れるかのようにしんと静まり返っていた。


だけど龍崎組では組のもんがぞくぞく帰ってきて、いつも通り賑やかだった。


戒もさっきの不安そうな様子から一転、いつも通り楽しそうにしている。


「お嬢、大丈夫でしたか?リコさんも心配してましたよ」


キョウスケもリコを送り届けたあとに帰ってきて、ちょっと心配するように眉を寄せていた。


ほとんど日付が変わろうとしていた遅い時間だった。


リコと寄り道でもしていたのだろうか。


だけど深く詮索することはせず、


「あ、うん。リコにはメールしておく」


あたしは早口に言って、逃げるようにさっと自分の部屋に入った。


今はキョウスケの顔すらまともに見れない。


何か悪い気がして―――


こいつも、こないだまっすぐにあたしに気持ちをぶつけてくれた。


それに応えられないって返事をしたけど、


何だかすっごく悪いことをした気分だったから―――




――――叔父貴のあの告白が、


あたしに隠していたこと?





戒とキョウスケも知らなかったこと?



ううん、違う。


あの様子からすると、戒とキョウスケは叔父貴の気持ちを知っていたに違いない。


ってことは、


それ以外にまだ何かを隠しているってこと―――か……


でも二人は知っていて、何で今まで知らない振りしてたんだろう。




青龍と白虎の協定―――




きっとそれがあるからだ。


二つの組織を結びつけるのに、あたしたちの結婚はなくてはならないもの。


だから叔父貴は自分の気持ちを犠牲にしてまで、あたしの婚約を推し進めたの?





分からないよ。