色とりどりの料理が運ばれてきて、あたしたちは目をキラキラ。


見たこともない上品な飾りつけにうっとり。


淡いピンク色をした豆腐のようなものを口に運んでいるときだった。


「その奥さんになる人ですが、あなたもご存知の方ですよ。


お相手は会長付きの秘書の女性です」


ドクターの言葉にあたしは、


ゲホッゴホッ!


豆腐を喉に詰まらせて思い切り咳き込んだ。ってか豆腐だったのかどうかも分からん。


「大丈夫?」とリコが背中を撫でさすってくれる。


「はぁ!?」


あのいかにもデキそうな女の秘書!?


いつもあたし好みのケーキと紅茶を用意してくれる、あの美人の秘書!!(←食いもんのことだけははっきりと覚えている)


鴇田の結婚にゃ興味がなかったが、相手があの秘書ってところにびっくりだ。


「何で!?いつの間にそんな展開になってんの!鴇田、あいつ一ヶ月ほど前まで女居ないって言ってたぜ!」


「数年前から“交流”はあったみたいですよ?時々食事なんか行ってたみたいです」


はぁ~“交流”…ねぇ。


「まさかデキ婚とか??」


あたしは探るように目を上げた。


なんかあいつきっちりしてそーだけど。ってか想像すんじゃねぇあたし!!


「いえ。違いますよ。普通に結婚です」


「ってことは、その女の人のことが凄く好きだってことだよね」


リコが手を合わせてうっとりと宙を見上げた。


「オフィスラブかぁ♪いいなぁ♪」


オフィスラブって…まぁ間違っちゃいないが。


「小悪魔ちゃんはまだまだひよっこだなぁ。人間は愛がなくても結婚できるんだよ~?」


タイガがちょっとリコをからかうようにしたり顔で口の端を曲げて、リコはムっと顔をしかめた。