鴇田が―――結婚……?
「ぇえ~!何で衛がそのこと知ってるのさ~。僕が教えたかったのに」
とタイガがつまらなさそうに唇を尖らせている。
「フフッ。私は何でも知っているんだよ、恵一。君の秘密も♪」
「え!?もしかして、もしかして!!僕がひよこちゃんたちを隠し撮りしてることも!!」
………
変態タイガの秘密、知りたくなかったぜ。
「てかそれのどこが衝撃的なんだよ。あたしゃあいつが誰といつ結婚しようが、どーだっていいんだよ」
「弟って、あの叔父さまの秘書って言う人?」
「秘書じゃありませんよ。常務取締り役です」
ドクターがにこにこ説明をくれたが、そんな情報もどうでもいいし。
てかあいつ経理部部長だろ?お前さりげに弟の肩書き間違えてんぜ。
「あの人独身だったの?」
と、リコが目をまばたかせている。
「だよな~。あたしも最初は妻帯者かと思ったケド」
「所帯じみてる??♪」とタイガが楽しそうに聞いてきて、
「いや、そんなんじゃないけど、何て言うかあいつ……」
その後に続く言葉が出てこなかった。
何て言やぁいいんだろ。
「落ち着いた大人の人~って感じだったし、家庭を凄く大事にしそうじゃない?何かヤクザっぽくないよね」
「リコ。あんた目ん玉腐ってんじゃないの?」
「僕もうさぎちゃんに同感だよ。あの人事務所の中じゃ相当暴君なんだよ?すぐ物投げつけてくるし。
奥さんになる人がかわいそう」
「事務所の中じゃ暴君??朔羅みたいだね~」とリコ。
リコ…可愛い笑顔でさりげにひでぇな。
「奥さんが可哀想ってのは同感だが、
そりゃお前が悪いんだろ。どーせお前が変なことを言うかしでかすかして、あいつを怒らせてるんだろ?」
「うさぎちゃん鋭いね~♪さすが龍崎組のお嬢!♪」
タイガが楽しそうに笑って、ホントにこいつがヤクザってとこ今更ながら疑いたくなった。



