大狼を犯そうとして、二十歳前の女と援交……俺のイメージがどんどん崩れていく…
と落ち込んでる場合ではない。
とりあえずイチを追い返したい。
「用があるんなら早く言え。俺も忙しいんだ」
大狼をスネークかもと一瞬でも疑った俺がバカだった。
大体にしてこんなふざけたヤツがあのスネークなわけないのだ。
その無駄な時間を取り戻して龍崎グループの本社に行かなければ、と気が急いていたのもある。
俺がそっけなく言うと、イチは
「あんたに渡したいものがあったのよ」
と、ごそごそとバッグの中をマイペースにまさぐっている。
イチのブランド物のベージュ色のバッグに、同系色のくまのぬいぐるみがくっついていた。
イチの趣味か??そうには思えなかったが、敢えて深く突っ込まずにそれをスルーしながらイチの様子をじっと観察していると、
「イっちゃん聞いた?組長結婚するんだって~」
と大狼がすっかり元のペースに戻って無邪気にイチに話しかけている。
「―――…は?」
イチのバッグをまさぐる手が止まった。
驚いたように目を開いて、そのままの姿勢で俺を凝視してきた。
「相手は宇宙人ですよ。ご心配なく」
と周りの組員もイチに楽しそうに耳打ちする。
何が『ご心配なく』なのか分からなかったが、
「ふぅん」
イチはそっけなく呟いて、
ドンっ
乱暴に俺の胸に何かを押し付けてきた。



