「イチさん、お茶です♪」
「イチちゃん、肩お揉みしましょうか~♪」
「イチさん、好きです」
事務長である俺の椅子にふんぞりかえって脚を組み、イチは組員からちやほやされて女王さまみたいだ。(最後の台詞は聞かなかったことにしよう)
「あら、気が利くわね」
イチも手馴れた様子で、ねぎらいを受けている。
俺が言うのも何だが、まぁ黙っていればかなりの美女だ。
だが騙されるな!こいつの中身はドス黒くて、少しでも入り込んだらボロ雑巾のように捨てられるんだぞ!(←親の言う台詞ではない)
親である俺ですら痛い目に遭ってるんだからな。
イチめ。あのブラのイタズラのせいで俺は酷い目に遭ったんだぞ!!
まぁあの件はおいおい、とりあえず、
「イチ、お前ところで何の用で来た?小遣いでもせびりに来たか?」
俺がそっけなく聞くと、
「違うわよ」イチはつんと顔を逸らす。
「前から思ってたけどイっちゃんは組長の何??」
大狼が不思議そうに俺たちを見比べて、イチは俺の方を流し目で見ると
「あたしの“パパ”なの♪」
お茶を飲んでいた俺は
ブーーー!
危うく吹き出しそうになった。
だが組員たちは
「「「……あぁ、それで小遣い…」」」
何をどう納得したのか妙に神妙な面持ちで頷く。
ちょっと待て。そっちの“パパ”かよ!俺が援交してると思ってるのか!?
これは俺の本当の娘だ!
とは言えず…イチは勝ち誇ったようにふふんと笑っていた。



