ワイシャツの中にタンクトップ。
そのむき出しの二の腕の左側に―――
―――!!ない!?
俺は目を開いてその場所を凝視したが、レーザーで消した痕跡もない。
若干色白だと言えるが不自然なタトゥーの痕はなかった。
俺は大狼のワイシャツを掴んだまま、ただひたすらに驚いている大狼を見上げて今度は髪の生え際を睨んだ。
無造作にセットしてある髪は黒くてツヤツヤしている。
いや、髪の色なんて染めれば何とでもなる。
ガっ!
今度は大狼の髪を掴んで頭を下げさせると、
「一体何だって言うんですか!」と大狼は猛抗議。大狼の髪の生え際は言うまでもなく黒々としていてこっちも不自然な様子はなかった。
「美容院いきたてか?きれいに染まってるな」
それでも俺が探るように聞くと、
「はぁ?一ヶ月ほど行ってませんが。僕は組長と違って白髪が少ないんですよ!」
と、しっかり反抗してくる。
「俺だって白髪は少ない!」
“ない”とは言い切れない…
「もう一度腕を見せろ!」
俺が怒鳴ると、
「いやーーー!!」
大狼が叫んで、その声で組員たちが何事か駆けつけてきた。
「タイガの兄貴!どうされやした!?」
「組長が…組長がぁ…」
大狼は半泣きになって俺を指差すと、見ようによっちゃ大狼を襲っているように見える俺を見て、組員はドン引き。



