俺は大狼のデスクに肘をついて脚を組むと、大きく息を吸って、
「大狼、俺は結婚することに決めた」
そう報告をしてみた。
「「「結婚!!?」」」
肝心の大狼の反応ではなく、周りが騒然となって椅子をガタつかせて一斉に立ち上がる。
「何だ!俺が結婚するのはそんな大きな問題かっ!!」
そう怒鳴ると、
「「「い、いえっ!」」」
と慌てて椅子に戻る奴ら。
方々で、「明日は嵐かもな」
「いや雹が降ってハリケーンが巻き起こって、落雷だ」
「てか相手人間!?」
「バカ!宇宙人とどうやって結婚するってんだよ!そもそも婚姻届ってどこで出すんだよ!」
とひそひそ。
………
「日本ではハリケーンじゃなく台風と呼ぶものだ。それに俺の結婚相手は宇宙人でもなく地球外生命体でもなく、人間の女だ!」
俺が一喝すると組員はまたも慌てて仕事を再開させる。
「結婚ですかぁ。また急ですね。お相手はどちら??」
と、大狼は俺の話を話半分に聞き流して、壁紙に設定してあるキョウスケの写真(隠し撮り)に夢中だ。
俺の考え違いか?
こいつは紛れもなく変態で変人だ。
目を細めてじっと大狼を見据えて―――だがしかし探りを入れるために俺は次なる攻撃を仕掛けた。
「相手は朝霧だ―――」
デスクトップを楽しそうに見つめていた大狼が目を開いて、動きを止めた。



