時計を見ると朝のまだ七時前だった。
濃い目のコーヒーをキリに淹れてもらっている最中、
「分かったって?スネークの居所か?随分早かったな」
俺はワイシャツに着替えながらキリに問いかけた。
「残念だけど居所じゃないわ。ただ兄の体の一部にタトゥーを施した彫り師の情報が分かっただけ」
カップに湯を注ぎながらキリはいつになく真面目に答えた。
「彫り師?」
「私のタトゥーを彫ってもらった彫り師の師匠らしいわ。残念だけどその彫り師は亡くなってる。何せ二十年以上も前の話だから。
ただ数人居るきょうだい弟子たちが兄の姿をおぼろげながらも覚えていたみたいよ」
「で?そのタトゥーはどこに彫ってある?」
それが目印になる。その紋を持つものがスネークと言うことだ。
「場所は左の二の腕の内側。そのときのデザイン画をパソコンに転送されてる」
キリはキッチンから出ると、テーブルの上に彼女のノートパソコンを見るよう促してきた。
二十年前のデザイン画だから確かに色あせているし、線も曖昧にぼやけていた。
でもまったく判別不可能と言うわけではない。
トライバル模様の薔薇……?のツルに蛇が巻き付いている洒落たデザインだ。
しかし二の腕の内側―――か…
また分かりづらいところにあるな。
「お前は兄貴とはいくつ離れてるんだ?」
身体的な特徴を聞けばもっと絞れるかもしれない。
「六歳よ」
てことは、俺と近い年齢と言うことか。



