「……ん」


キリの甘い吐息が聞こえて、それを心地よく感じながらも彼女のサラサラした髪に手を入れる。


口付けの合間に髪を撫で梳いていると、


キリが俺の胸を押して、俺はあっけなくソファに倒された。


すぐにキリが覆いかぶさってきて、長い前髪を掻き揚げながら再び口付けが降りてくる。


積極的な女は好きだが、この場と言うのは…


「…キリ……寝室に行こう…」


情熱的な口付けの合間に囁くように言うと、キリは顔を上げて、


ぐい


俺のネクタイを力強く引っ張った。


首元が絞まって、俺は慌てて身を起こした。


「何するんだ」


キリを睨んで凄むが、キリには全く通用しないらしい。


「黙って。行くんでしょ?寝室」


挑発するように顔を寄せられて俺は無言で頷いて立ち上がった。


いつもそうだ。


俺はいつも“その場”になると彼女に主導権を握られる。


積極的と言うか、エロいと言うか…


でもいつも主導権を握られていては俺のメンツが保てん。


「抱っこしていってやろうか?」


意地悪そうに言ってやると、


「Wow、花嫁さんみたいね♪私たち付き合ってもないのに?」


キリはさらに意地悪そうに笑って腕を組んだ。