変態ドクターが住む家だから、絶対お化けでそうな廃病院みたいなのを想像してたけど。


あれ??意外に普通。


…じゃねぇな。


何だよ、このきれいで高そ~なマンションは!!


あたしは背が高くて白い壁が眩しいきれいなマンションを見上げた。


そりゃ叔父貴んとこのマンションよりランクは下がるだろうけど、それでも独り暮らしの男が住むには充分過ぎる。


しかも都心だし、家賃いくらするんだ??


なんて頭の中で計算していると、


「フフっ。私はこう見えてもリッチなのだよ♪」


ドクターは楽しそうに笑って、あたしをエレベーターに促した。


リッチねぇ…


まぁこう見えても一応医者だからね!!


それでも独り暮らしの男の家に行くのは気が引けた。


叔父貴は別だけど、叔父貴以外の男の部屋(家)ってのは、はじめてだ。


「最初に言っておく。何かやらかしたらぶっ殺すからな!」


あたしはそう警告してドクターをビシッと指差し、だけどドクターは、


「何か?」と言って首を捻っている。


騙されるな朔羅。こいつはこんな親切な人間の皮をかぶって、実はオオカミかもしれねぇ!


いつもだったら、何も考えずについて行くところだったけど、さっきの叔父貴の件があってあたしは分かりやすく警戒していた。


構えながらもこいつの部屋の前まで行くと、ドクターは鍵を開けた。


「さ、どうぞ~」


促されて、それでもあたしはこいつを信用できなくて、こいつに向き直ったまま後ろ向きで部屋に入った。