そう言われて安心したのとまた、あたしもいつもの調子を取り戻してムっと顔をしかめた。
こいつを“怖い”と思った感情はたった数秒で、やっぱりこいつとの会話は脈絡もないもので、
「あんたの愛しの朔羅だって細いじゃない。あれは良くて何であたしはダメなのよ」
「あー…確かになぁ。お嬢のおなかってさ内臓つまってんのかな。こんなんやで」
響輔が両手でウェストの目測をしている。
ホントに一瞬……
こいつを“怖い”と思ったあたしがバカだったよ。
「知るか!ってか、何であんたがそんなこと知ってんのよ!!」
「まぁハプニング(?)で色々…イロイロね」※KYOSUKE参照
最後の方は言葉を濁し、響輔は口元を覆った。
何なのよ!ハプニングって!!
「ふくよかな方が良いって言ったけど、あたし胸は結構あるのよ!」
あたしは響輔の手を乱暴に取ると、
「ほらっ!どう!!」と自分の胸元に強引に引き寄せた。
さすがの響輔も面食らったようにひたすらに目を開いて唇を引き結んでいる。
その表情を見て、あたしもはっとなった。
あたしったら…!なんて大胆なことを…!!
ガラにもなくドキドキして、顔が熱くなるのが分かる。
でも、勢いがないとこいつとこれ以上接近できないし。
響輔の手のひらがあたしの胸のふくらみを捉えている。そこから何かをしてくるようではないようだけど、すぐに離れてはいかない。
響輔は僅かに目を細めると、
「あー…、まぁ…ねぇ」と言葉を濁した。
「でもさぁ、あんたあんまり安っぽい女になるのはやめた方がええよ」



