お賽銭を投げこんで、あたしたちは手を合わせて目を閉じた。
“きょ…響輔と恋人になれますように……”
なんてガラにもないく可愛いことを願ったり。
大体五円で願いが叶うなら安いもんよね。夜の神社でも通い続けてやるわよ。
なんて思いながらも、しっかりと願い事をし終えると、隣で響輔は手を合わせたまま、まだ目を閉じていた。
長い睫を伏せて、真剣な様子で口元を引き締めている。
何を……お願いしてるんだろう。
もしかして―――“朔羅と想いが通じ合いますように”とか??
じっと見つめていても、響輔が顔を上げることはなかった。
………
「ちょっと。……起きてる?」
もしかして、と思って軽く揺すってみたら響輔がゆっくりと目を開けた。
「…ちょっと寝とった」
やっぱり……!
何でこいつ、こんなにマイペースなの!!
「って言うか寝るなんて神様に失礼じゃないの?」
「…どうも神妙なのは苦手みたいや」と言って、今度は石段に腰を降ろす響輔。
遠くでガサガサっと音を聞いて、あたしはその音にびっくりして慌てて響輔の隣に腰掛け、腕に縋りついた。
「風の音やて。ほんまに怖がりやなぁ。“幽霊ごっこ”は良くて何で夜の神社はあかんねん」
「ゆ、幽霊ごっこは、朔羅や鴇田を脅かそうとしてただけだから平気だったけど、ここはホントに出そうじゃん」
「人を脅かすことが趣味?悪趣味やな」
響輔が頬杖をついてのんびりと言ったから、
「バイクを走らせる色気のない趣味の人に言われたくない」
と、またも可愛くないあたしが減らず口を叩く。
ああ、可愛くなりたいのに。素直になれればいいのに。
どうしてあたしはこうなんだろう……



