ガシャン!!


バリバリ!


ドン―――!!!


頭上で窓ガラスが割れる音、爆音に混ざって物が壊れる音が響いている。


目の前でキョウスケの持ってきた鉢植えが数秒間で見事に粉砕して、あたしは目を開いた。


「な、何や!!朔羅、大丈夫か!!」


戒の怒鳴り声を聞いた。


「大丈夫!!」そう答えるのが精一杯。


耳を劈くような銃声が轟き、聴覚がおかしくなりそうだ。思わず耳を塞ぐように手を当てた。


「マシンガンです!顔を上げないで!標的にされる」


遠くの方でキョウスケの怒鳴り声も聞こえる。


鳴り止まない銃声の雨のさなか、あたしは頭を抱えながらも目だけを上げた。


目の前で上質な羽毛布団の羽が飛び出てひらひらと雪のように舞っている。


「何もんだ!」


あたしが怒鳴ると、


「お嬢、危ない!」目の前の鴇田に強く腕を引かれて、あたしは鴇田の胸に強く抱かれた。


まるで庇うかのように守るかのように抱き寄せられ、そろりと顔を上げると、頭部を庇うように頭に腕をかざしていた鴇田の横を大きな硝子の破片がすり抜けていった。


「顔を出すな!撃たれるぞ!!」


鴇田が怒鳴り、舞い落ちる硝子の破片を振り落とすかのように頭を振っている鴇田の顔ら辺で細かい硝子の破片がきらきらと反射していた。


まるでスローモーションを見ているかのように、その一連の動作が


場違いにもきれいだと思ってしまった。


「部屋の外へ!」


キョウスケが怒鳴り、身を屈めながらあたしの元に駆け寄ってくる。


「お嬢を頼む」


そう言って鴇田は窓の下で身を屈めると、スーツから黒光りする拳銃を取りだす。


キョウスケに腕を引かれる瞬間、あたしの足元に転がっていた白い百合の花が銃弾に撃たれて粉々に散っていくのを、



鴇田が目を開いて呆然と眺めていた。



「ゆり……」



鴇田が手を差し伸べる。





「何やってる!死にてぇのか!!」




あたしはまたも強引に鴇田の腕を引くと、はっとしたように鴇田は銃を構えなおした。