あたしが怪訝そうな表情をしてたからかな、鴇田が口元に涼しい笑みを浮かべて、


「いえ。まさかお嬢がこんな花を私にくださるとは思ってもなかったので。


ちなみに虎間からは菊を、キョウスケに至っては何も植わってない鉢植えを貰いました」


おめぇら……悪意たっぷりだな。


しかもキョウスケ!おめぇ大人しそうな顔して、一番陰険!

※『根付く』が『寝付く』と言われて鉢植えはお見舞いには適しませんね。



「何も植わってないことはないです。一応ひまわりの種を埋めてみました。大きく育つ頃には鴇田さんはあの世かもしれませんが」


と、いつも通りの無表情でさらりと言うキョウスケ。


こいつ…!ここに居る誰よりも一番怖ぇえよ!


「ちなみにひまわりの種はペットショップで購入。一袋百円。ハムスターの餌」


しかもペットショップのハムスターの餌かよ!


「あいつやっぱ機嫌悪りぃみてぇ」


戒がこそっとあたしに耳打ちしてくる。


「地味な嫌がらせで鴇田にあたってる」


だけど鴇田は全然気にしてない様子で、


「まさかこの三人が見舞いに来てくれるなんてね。今度は一体何を企んでるのやら」と余裕をかましてる。


「別に、何も企んじゃいねぇよ」


戒は締め上げるって言ってたけど、それはまだしてないみたい。って言うかこいつも来たばっかって感じだな。


菊の花束がそのままだ。


「今日が退院ですよ。検査の結果も異常がなかったし、骨も無事だったし」と鴇田はあたしに説明をくれた。


「もっと長く入院してくれりゃ良かったのによ」


思わず憎まれ口を叩くも、鴇田には全く堪えないようだ。






「そうゆうわけには参りません。何せ会長お一人にさせるわけにはいかないのでね」






意味深に口元に笑みを浮かべ、あたしの方を見てきて



あたしはドキリとして心臓の辺りを押さえた。