ドキドキした。


心臓が爆発するかと思うぐらい緊張したし、


でも不思議と怖いとか嫌だとかは微塵にも思わなかった。


戒の唇は甘いキスの音を立てて、戒の手のひらはあたしの体温となじもうとするかのように温かで心地いい。


知らずのうちに胸元の紋がある場所を押さえていたあたしの手に、戒の手がそっと重なった。


ドキンと大きく心臓が音を立てて、鼓動が波紋をつくり湯がゆらめいた気がした。


それでもあたしは戒に引き剥がされるまま、そっと手を離した。


反対側の戒の手が紋の辺りをそっと撫でてきて、


きゅっと目をつぶる。


この先を想像して、くらりと眩暈がおきそうになったが、







「なぁ。そんなに急いでどなしたん。



お前がことを急ごうとしたわけ、何かあるんやろ」






甘い口付けとは反対に戒の声は低いドスが含まれていた。


反射的にぱっと目を開けて、前を見ると射るようにあたしを見つめている戒の視線とぶつかった。


ドキリ…


心臓が嫌な音を立てて、鼓動が早まる。


「あ……」


慌てて心臓の辺り…紋がある場所を押さえる。


どうしよ…


どうしよう!



何て答えればいいんだろう。