「いや、立ち聞きするつもりは……」 「思いっきりやっ」 「オトンです」 「わかっとるわ」 「ほな……55歳です」 「そんなんいらんねんっ」 「なんやお前は」 「もうオトンええって。疲れる」 僕はなぜだか 泣きそうになった。 ハーフの僕を 何も詮索しない。 何も聞かない。 この家族はどうして? こんなにも――