「俺の家は民宿やっとってなあ。もう古いけど」 レンタカーであちこち回りながら、最後に案内してくれた。 ミコトの育った街。 「ねえ、あれ何?」 羅未は質問攻めだった。 大阪には謎めいた物がたくさんあって。 「知らんの?」 ミコトは当たり前のように説明していたけど。 正直、笑えてしまって。 羅未と何度も目が合った。 「到着っ」 “民宿みこと” 看板が目に入った。