「……その…ありがとね?」 「どういたしまして」 久しぶりに泣いたかも……。 「……泣くのはいいけどさ…」 「うん?」 「俺の前だけにしろよ?」 「……何で?」 あたしがそう聞くと、黒瀬利玖は顔を背けて あたしの髪をクシャクシャと撫でた。 「ちょ…っ!髪ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん!!」 毎朝一生懸命セットしてるのに! 「いいんだよ。つーか…女って大変だな」 「大変って?」 「毎朝髪巻いたりしてさ」 「そうかな?結構楽しいよ?」 そりゃあ、朝早く起きるのは大変だけど……。