「あ、あのスカイに誰かと来てたんじゃないですか?」
だって…電話でスカイ出てきちゃったとか言ってたし。
「あたしも帰るんで、手離してもらっていいですか?」
「いや。」
…はい?
「…いやとかじゃなくて、困るんですけど。」
このままじゃ家にも帰れないし、繭たちにも連絡できない。
「………。」
「………。」
2人の間に無言が続く。
どうしよう…。
「じゃあさ、5つ質問に答えたら手離すよ。」
質問?
「名前は?」
「…中納(ナカノ)」
「下も。」
「杏樹…。」
「いつもあの図書館にいるの?」
「だいたいは…。テスト期間じゃなければ。」
「テスト期間?」
「テスト期間は人が多いんで…」
「桃白学園の制服着てたよね?」
「えー、こんな地味でも一応生徒なんで。」
「ふーん。また会える?」
「会えません。」
「なんで?」
「あの、もう5つ質問終わったんで離してもらえませんか?」
「最後に1つ。」
「何?」
「俺のこと、嫌い?」
「…嫌い。」
その瞬間、腕にくっついてた手が離れ、あたしは一目散に家へ帰った。