『……話には聞いていましたけど、本当にすごいお家ですね』
メイドさんに案内されながら、キョロキョロとお屋敷の中を見回す
本当はこういうの無作法だからしない方がいいんだけど、ついやってしまう。
志乃さんを除くスタッフさんたちも同じようだ。
「フフッ、こちらです」
前を歩くメイドさんはそんな私たちに苦笑しながら扉を手で示した。
コンコンッ。
「紫水様、お客様をお連れしました」
清龍くんの時と違って、メイドさんがドアの向こうに声を掛ければすぐに、
「ああ、ご苦労様。
どうぞ、部屋の鍵は開いてますから」
と、返事があった。
「お邪魔します」
やはり志乃さんが先頭に立ってドアノブに手を掛ける。
音もなくドアは開いて。
志乃さんの肩越しに見えたのは、ソファーにつまらなさそうな顔をして背中を預けている紫水くんの姿だった。

