気合いは入れ直しました。
だけどその気合いは早くも入れ直しが必要なほどすり減ってます。
「桃山さん到着しました!!」
ドアを蹴破る勢いで突如入室してきた男性スタッフがそう告げる。
これを受けて志乃さんは私に頼みごとをしてきた。
すなわち……。
「じゃあ、奈々子ちゃん?
撮影スタジオの隅に移動して、その場で遥くんのメイクを先にしてくれないかしら?」
そしてそのお願いをただいま実行中なんだけど……。
急に言われてちょっと困惑してるのかな?
遥くんは遥くんで、別の仕事中だったのを無理を言って半ば拉致するように連れてこられたみたい。
よくわからないまま衣装に着替えさせられて、今は私にメイクされながら、志乃さんから説明を受けてるんだけど、大丈夫なのかな?
『よし、できた』
習慣とは恐ろしいもので、多少頭の回転が鈍くなっていようと手は勝手に動いているものだ。
メイクの終了と同時に遥くんはカメラの前に連れて行かれ、綺麗にラッピングされた箱を持たされる。
「じゃあ構えて、何かひと言セリフを下さい」
何という適当な指示だろう?
事情はよくわからない。
けれど遥くんもまたプロだった。
箱を口元に持っていったかと思うと、リボンの先を噛んで引き解く。
パシャッ。

