そのまま成り行きを見守っていると、遥は思い切った様子でクッキーを手に取り、口に放り込む。


「まずい」


口の中のものを咀嚼し呑み込んだ後、そう告げる。


『まずいって……!!』


言いかけて止めた。


遥がクッキーをもう1枚食べ始めたからだ。



『素直じゃないね』


「うるせぇ……//」


クッキーを頬張ってモゴモゴと口を動かす遥はなんだか可愛かった。



「そういえばハルちゃんとしーちゃんはお菓子何を用意したの?☆」


執事さんが運んできてくれたお菓子の山を半分くらいお腹の中に片付けた由依が期待のこもった眼差しで二人を見つめた。


由依、まだ食べるの……?


「僕のは後で」


意味深に笑って紫水は言葉を濁す。


「俺様からはこれだ。

ありがたく受け取れ」


椅子の上で偉そうに踏ん反り返った遥が渡してきたのは、するめと酢昆布だった。


この人もずれてるよね……。


「わ~い、ハルちゃんありがとう☆」


由依が喜んでるから、まあいいか。





「おっ!!

奏の手作りマカロン♪」


パクッ。


『あっ、お兄ちゃんそれ違う!!』


帰宅後、帰り際に紫水から渡されたマカロン(味は秘密)を私からの贈り物と勘違いしたお兄ちゃんが誤って食べてしまい、お腹を壊したというのは、また別のお話。




おしまい☆