『はい、私からはこれ』
やっとみんな大人しく席に着き、お茶を始める。
「上手に焼けたね」
ガボチャクッキーをひと口齧り、紫水が微笑む。
なんか、嬉しい。
紫水は普段、あまり褒め言葉を口にしないからかな?
『そ、そうかな?//』
照れ隠しに頭を掻く。
「もっとも、お菓子を忘れてきてくれればイタズラできたかもしれないって思うと、少し残念だけどね」
付け足しのように言われた紫水の言葉に、手が止まった。
うっ、今のはいったい……!?
空耳?
幻聴!?
そうか、幻聴だ。
幻聴に決まってる!!
『良かったら遥も食べてみて?
甘さ控えめにしてあるから』
「……っ!!//」
ボーッと遠くを見つめたまま動かない遥にクッキーを勧めると、ビクッと大げさなくらい反応した。
変なの。
不思議そうな顔つきをする私を、遥はクッキーと交互に見比べる。