私こそ光る☆君~四季折々番外編~

「……悪かった」


遥の様子に罪悪感を持ったのか、清龍が謝罪の言葉を口にした。


言い訳したりしない。

それが清龍のいいところだと思う。


清龍の謝罪は言葉だけに留まらなかった。

やはり緩慢な動作で遥に近づく清龍。


「手」


正面へ来て、またひと言発する。


どうやら手を出せと言っているらしい。


言葉が少なすぎて、飼い犬にお手を命じるセリフにも聞こえるけど。


「……?」


困惑気味の遥が差し出した右手に清龍は自分の手を重ねる。


そっと、遥の手のひらを覆っていた手が離れると……。


そこには白い、大福が鎮座していた。


「……何だこれ?」


「大福」


「……そのくらいわかる」


「もう一個……」


「いらねーよ」


以上、遥と清龍による虚しい会話。


きっと、これが清龍なりの謝り方なのだろう。