「やあ、いらっしゃい」
「おせーよ」
扉を開けると、二つの声に出迎えられた。
紫水と遥だ。
「そんなことないもん。
ねー、カナちゃん?☆」
『えっ、うあ、うん?』
上機嫌の由依に話を振られて答えに詰まる。
「つーか、お前ら!!
なんでそんなくっついてんだよ!?
由依、は・な・れ・ろ!!」
「ヤダ☆」
「離れろったら離れろ」
「ヤダったらヤダ!!☆」
強引に引き剥がしにかかる遥と意地でも離れない由依。
「いつものパターンだね。
喧嘩にももっとバリエーションがないと」
呆れた様子の紫水。
問題はそこじゃないと思うけどね。
「……うるさい」
心底迷惑そうな清龍。
私も“うるさい”に一票。
間に挟まれる者の身にもなって欲しい。
「失礼致します」
控えめなノックの後、執事さんが入ってきた。
「だいたい何なんだよ、その変な格好!?」
「変じゃないもん!!☆」
口論に夢中な二人は気付かない。

