私こそ光る☆君~四季折々番外編~

「あっ、カナちゃん待ってよ~☆」


取り残されたついでに1人で紫水の部屋に行こうとする背中に声がかかった。


振り向くと、ちょうどお姉様方の人垣を抜け出してきた由依の姿が視界に入る。


どうやってあれを抜けたんだろう?


そう思う間にも由依は私との距離を縮めていて、


「置いて行っちゃやだ☆」


と言って、両手いっぱいに抱えていたお菓子をすべて放り出し、私の右腕に抱きついてきた。


急な出来事に周りの人々は対応しきれず、固まっている。

私自身、動けずにいると由依が呻き声をあげた。


え~っと、これは“構ってほしい”ってことなのかな?


『お菓子は?』


適当な話題を見つけるべく視線を彷徨わせ、足元に散乱したお菓子に目が留まった。


「いーのっ☆」


ご機嫌斜め。


拗ねたように唇を尖らせ、由依はぷいっとそっぽを向いてしまった。


そんな様子が可笑しくて、思わず笑ってしまうと、ますますへそを曲げて顔をそらす。


きっとさっきのは話題が不合格だったんだよね?


『由依、一緒に行こっか?』


もう一度尋ねると今度は即座に振り向き、パァッと表情を明るくした由依だった。


ふふふっ、由依っていつも一生懸命なんだよね。