ギュッっと握ってくれた、冷たい手。

走ってきたせいで…

そんなこと考えながら、
私も握った。

「ありがとう」

私、本当にちゃんと笑えてるかな?

心の底から、明るい気持ちになっていく。
とっても懐かしくて、温かい。

「やっと笑った…」

愁…?
やっとって、どういう意味?

「え…と…」

私の言葉をさえぎるように愁が呟いた。

「笑ってる方が、りんらしいよ。」

その言葉を聞いた瞬間、私は思いっきり笑った。

それがどんなに嬉しくて、安心したか…
心の底から、本当に笑えてる。

「うん!!」

きっと1年ぶりに、人に心を開いたかもしれない。

ありがとう。愁。

1年生の時みたいに明るくなるよ。
みんなに笑顔を与えられるような。

本当にありがとう。

「りん、帰ろっか!!」
「うん!!」

立ち上がると、愁が自分の隣を指差した。
私は隣にいく。

たくさん話してたくさん笑った。

「あ、家まで送ってくよ!!」
「おぉ!!ありがとう♪」

いつも通り、バカにされてるけど
楽しくて、いままでより明るい自分がいた。

「ありがとう」

愁は急に言ってきた。
なんだし

「何が?」
「色々と。」

いつも変なやつ

家に着いたから、
バイバイをして別れた。



このあとの大きな出来事が起きるとも知らずに、
笑顔で…