オレは静かに病室で待っていた。


美々が
ここに戻ってくるまでは
誰にも連絡しないでいた。


春の終わりから
夏の始め頃の予定だった…
オトは
かなり早く産まれてきてしまった。


大丈夫なのか?
心配になってきた。


独り言を部屋中に撒き散らしていたら

車イスに乗って
オレのもとへ戻ってきた美々は
昨日の顔とは
まったく違っていてヤツレテいたけど…

すごくキレイだった。




夜になって
自宅に戻る途中に小さな公園があって
オレはジャングルジムに上って夜空を見上げていた。




「 オト…
漢字…
そうだよ漢字…
どうしようかな? 」




美々との思い出がいっぱいある公園。


オレの背中に
ハラハラと花びらが風にのって触っていく
ハラハラ…

手をだしたオレに
桜の花びらが風にのって
ハラハラと
そして止まってくれた。


春に産まれてくれた二人の宝物!


桜がキレイに咲いていた
風にのって
ハラハラと舞っている。


ハラハラという音が
オレには確かに聞こえた。




「 そうだ!
桜に音で
オトくん!
これに決定! 」