ピンチヒッターで急遽呼び出しをくらったバイトを終え、オレは自宅に戻ってきた。

マンションの駐車場に止めたバイクのエンジンを切る。


ヘルメットを外して見上げるとオレの部屋には灯りがともっていた。


ああ、そっか、あいつ来てたんだな。


なんかわからねぇけど、顔が綻ぶ。

一人暮らしを始めてから、こんな風に誰かがオレの帰りを待つなんてことなかったから……。

なんだろ……なんかくすぐってぇな。


オレはバイクの鍵を人差し指でクルクルと回しながら、トントンと階段を駆け上がった。