「ん……。レン…くん……」


彼女の口がもごもごと動いて、オレの名前を呼んだ。


寝言?


オレはまたため息ついてベッドの端で頬杖ついた。



いったいどんな夢見てんだ?


童話に出てくるお姫様は、王子のキスで目覚めたんだっけ。


でもどうやらこのお姫様はまだまだ夢から醒めそうにないな。




自然と口元が綻ぶ。



なぜだかわからないけど……


とりあえず、今はもうちょっとだけこの幸せそうな寝顔を眺めていたい。


そう思ったんだ。



オレはふにふにと彼女の頬を指でつついてみた。




「あ……やべぇ……。やっぱ可愛い」


【完】