そのとき、ドアのほうでガチャガチャと鍵を開ける音がした。

その音に、今日のメインイベントが始まったと唇の端を上げる。

今日はこのために学校に来たと言っても過言ではない。

カチッと、鍵の開く音がする。

だけどその音でドアが開くことはなく、またガチャガチャとした音が奏でられた。


理科室と理解準備室には薬品があるからか、鍵が二つ付いている。

一つはドアに元々取り付けてある鍵。

もう一つは後から取り付けた南京錠。

防犯上、仕方がないとはわかっているけれど、余分にかかる時間が今は惜しい。

早く、鍵を開けてよ。

その願いが通じたのか、すぐに鍵の外れる音がして。

数秒後、ドアがスライドする鈍い音が、鼓膜を揺らした。