あたしね、先生が。


「はい。ここがお前らの教室な。入って入って。」


広い教室に足をふみいれ

新しくかったローファーを、コツコツと鳴らした。


「さぁさ、すわってすわって。」


担任の先生は、嬉しそうに笑った。


「俺の名前は、」


チョークを手に取り、スラスラと字を書いて

教卓にバンっと手をついた。


「新田、洋邦です。一年間、よろしくなー。」



新田先生は自分から拍手を煽って、


また、笑った。


「じゃ、自己紹介。な?な?そっちから。」


新田先生は、私を指差して


目を見開いた。



「あ・・松井、晴です。よろしくお願いします。」


「好きな食べ物、好きなー・・趣味も!」


「趣味は・・」


無趣味な私には苦痛な質問・・


「・・えっと、お、かしずくり?」


作ったことなんて、バレンタインチョコくらい何だけどね。


「好きな食べ物は、イチゴです。」


「はいハルに拍手!」



一連のことを終えて、くたかっと机に寝そべった。


あたし、嘘ばっかりいっちゃった・・