一度の保証(短編集)

でも、助けたくないわけではない。
でも、俺の保証は、絶対あげるなんてできない。
それは、今も変わらない。

日は、過ぎてゆくばかり、時は、流れるばかり


えりなの命は、あと どのくらいなんだ?


一ヶ月もあるのか?いや、ないだろう。


俺は、過ぎる日と流れる時間と共に、埜上夫妻から、見えない圧力をかけられている気さえした。


もちろん夫妻には、そんなつもりはないだろうが、今、健康な俺には、保証もある。


俺さえ、我慢、犠牲になれば、目の前の少女の命は、救われる。


だが、俺だって命は、大切だし、保証だって必要な物だ。


もしだが、我慢して、犠牲になった俺は、どうなる?


誰が、俺に優しい手を与えてくれる?


俺だって、両親とは、血が繋がってないんだ。


受け渡して貰えることは、気持ちの面で、できていても、現実できない。


たったひとつ、絶対してはいけない事がある


人の生命を左右するようなこと。


でも、俺は、自分を守りたいことが、第一で、他に方法を思いつかなった。


えりなを見舞いに行った病院の帰り、お父さんの運転する車の中、俺とお母さんは、暮れゆく日を上半身に浴びていた。