一度の保証(短編集)

《えりな母》



宮崎さん達と私たちは、病室の外へ出た。


少し 病室から離れた廊下で、中にいる二人を見守るように閉まったドアを見る。


私は、宮崎さん夫妻に、深くお辞儀した。


「宮崎さん、どうも、お気遣いありがとうございます。
えりなも、楽しそうでなによりです」


私が、そう言うと、宮崎の旦那様が言う。


「埜上さん、頭をあげてくれませんか?
話しくらいは、良いかと思いましてな」


「そうですか…」


「それと、兄弟だけあって、二人はよく似ている。
目は、そっくりだ。
丸く大きな二重の線の形が…とてもよく似ていて…」


「宮崎さん…」


そして、奥さまが、旦那様の後に話し出す。


「本当に、あんなにそっくりだとは、思いもよらなくて…
何と申し上げていいか…
こんなに 酷い 現実…
あんまりだわ…」


奥さまは、涙を流してくれた。


「奥さま…
ありがとうございます。
本当に、心から、お気持ち 感謝します」