一度の保証(短編集)

夫妻は、顔だけをあげ、俺だけを見た。


「妹のえりなに、逢ってみてもいいですか?
もちろん 保証をあげるなんてできませんが、妹ですし、状況も良くないようですし…」


保証をあげるなんていくら妹であろうと友人、親友、もしかすると恋人にだってあげられない。


「それは、構いませんが…
私たちは、えりなをどうしても助けたい。
それは忘れないで下さい」


「埜上さん!太一の命は、お渡しできませんからね!」


お母さんは、声を荒げて言った。


「はい。
もちろん、先ほどは、引きずってでもと言ってしまいましたが、太一さんの命、保証は太一さんの物です。 ただ、私たちも希望を…
えりなが、助かるとゆう希望を多く…持っていたく…て…」


夫妻も、親


俺のお母さんもお父さんも、親


そこへ、お父さんが部屋へ来た。


「埜上さん、太一が妹に逢う時は、わしも付き添います。
あんた達に 太一を預けるなんて恐ろしくてできんのでな」


「はい!
えりなにお逢いしに来て下さるのなら…
遅くまで、今日は すみませんでした。
私たちのお話しは、これですべてです」


女性が言った。


俺は、帰り支度をする埜上夫妻に言う。