一度の保証(短編集)

「分かりました。
でも、夜になってからにして下さい。
これから帰って母には伝えますが、父は仕事なので伝えてすぐ家へ向かってくれたとしても二時間はかかると思います」


俺は、埜上と名乗る二人に、話せる場と時間を与えた。


いつもの時間より遅く、バスに乗り、自宅まで帰る。


俺は、帰ってすぐお母さんのとこまで行った。


「ただいま」


「太一、おかえり。何か食べるなら勝手にリビングにあるもの食べて」


洗濯をたたみながらお母さんが俺を見て言う。


「お母さん、埜上さんって人が、今日 俺達 家族に話したいことがあるって言って来たんだ」


「埜上さん?誰かしら?」


「俺も 今日 初めて逢ったんだけど、俺の妹って子が、引き取られたとこなんだ」


俺の言葉に お母さんは、手を止め、俺を見た。


俺は、話しをつづけお母さんに聞かす。


「俺達 家族みんなに話さないといけない問題で、俺にも言ってくれなかったけど、今日 聞いて欲しいってさ」


俺は、話し終え、お母さんの返事を待った。


お母さんは、俺に言った。


「話しは 聞く必要ないわよ」


「どうして?」


俺は、冷静に聞き返した。