一度の保証(短編集)

「なんでしょう?」


俺は、足止めをくらったことにも納得いかず、不審者を見るように二人を見て言った。


「突然 すみません」


女性がそう言い頭をふかぶか下げると、隣の男性も同時に同じように下げた。


「貴方達は?一体…」


俺に、嫌な予感がした。


俺が、誰かから訪ねられる理由なんて、産んだ母親かもしくは父親だと名乗る奴か…
もしくは、妹。
俺が 引き取られた時、まだ一人で歩くこともできなかった一歳だった妹の、えりな


「私たちは、埜上と申します」


「のがみさん?」


「娘は、埜上 えりな
すみません!えりなの兄である貴方の所在を探偵に頼み調べてここまで来てしまいました…」


「その、妹に 何か?」


「できれば、太一さんと、今のご両親にも、お話を聞いて頂きたいんですが…」

男性が、どこか弱々しく、だが力強く言った。


「両親より前に 俺が今、聞く権利あると思うんですが?」


「確に…。
でも、お話しは個人の判断でするような内容ではないので。どうか、どうか、今日にでもすぐ伺わせて欲しいんですが」


男性は、俺に聞いているにも関わらず有無を言わさない勢いを感じさせた。