一度の保証(短編集)

《宮崎 太一》


俺が、宮崎家の息子として引き取られたのは、四歳の頃だった。


お母さんとお父さんは、俺に良くしてくれている


いいや…してくれすぎているくらい裕福で、高校一年になった俺は、私立の中学受験をしてエスカレーター式で高校も同じ私立に進ませてもらうことができている。


俺が施設に入れられたのは、三歳になったばかりの時らしい。


流石に記憶はあまりないが、四歳くらいの記憶ならまぁある方だと思う。


俺は、施設で世話をしてくれていた女の人たちがはなしてるのを度々 耳にしていた。


「お兄ちゃんは、まだ少し大きかったけど、妹は、産まれたばかりだったのに、ひどいものよね〜」


引き取られる間際まで 聞いていた気がする


お母さんとお父さんは、同じ年の夫婦らしく、俺を引き取ってくれた時、二人とも47歳で、結構な歳だった。


今なら分かるが、四歳の俺を引き取ってくれたのは、お母さんとお父さん達が引き取れると決まっている最少年齢が、俺の歳で、運良く選んでくれたのが俺だったというだけのことだった。


でも、俺は、今 お母さんとお父さんに、本当の親子の温もりも、絆も感じている。