一度の保証(短編集)

あたしは、琴音に負けた。

聞いた一瞬にそう思った。


あたしが、しよいとしていたことを、もうして成し遂げていた琴音とゆう子がいた。


「警察には…?!」


「言ってないよ。言えるわけないよ…
俺に、琴音の人生を潰してしまうほどの気力なんてなかったよ…」


「これで分かったよ…」


「何を?」


「貞司が、同じ職場で次の彼女ができなかった訳と、告白もされなかった訳」


「どうゆう事だよ?!」


「分からない?琴音さんがしたことによる想いほど、勝てる自信なんて持てなかったからじゃない?」


「なんだそれ?」


「琴音さんは、貞司の命を生き返らせたのよ。
それは、真実でしかなくて、誰にも変えることのできないこと…なの」


「愛子まで何言うんだよ?でも、あいつは… 琴音は、俺を殺したんだぞ?
愛し合っていた恋人同士なのに…
俺には、琴音を理解してやれない、今もずっと…
殺して生き返らせることが、俺への愛の気持ちだったのか?俺は、そう思うと 琴音とは もう一緒にやっていけないと思ったんだ」


あたしは、何も言い返せなかった。