一度の保証(短編集)

「そうゆう事だ。
俺は、次 死んだら いくら愛子が無償に祈って願って想ってくれたとしても、生き返れない。
それでもいいか?」


あたしは、握りしめている毒物を持った手の中に汗が沸きにじんできた。


「どうして?いつ 死んだ…の?」


「愛子と出会う、5ヶ月前… そして俺は、愛子と出会う二ヶ月前に生還した」


「貞司?あたしが初めて貞司の美容室で貞司と逢ったのは、去年の10月だったわよね?
5ヶ月前って事は、5月?生還は、8月?」


「うん、そうだ…
俺の死因は、毒殺だった」

あたしは、今あった体の力全部がぬけた。


「毒殺…」



「愛子、すべてを話すよ。
俺を生き返らせてくれたのは、元カノの岬 琴音なんだ。
でも、俺を毒殺したのも琴音なんだ…
別れたのは、もちろんそのことでだった…」


あたしは、震える唇に必死で血の気を通わせた。


「琴 音さんは、どう して ?」


「俺を自分だけの物にする為だったと言っていたよ…。俺は、それを聞いて 怖いより辛かった」



あたしは、気が遠のいた。


「それで?貞司は琴音さんに何か言ったの?」


「いや、琴音が、泣いて犯人だと言ってきてくれた」