一度の保証(短編集)

あたしは、この瞬間を狙っていた。


コンビニで購入したものほど、不確かな物はない


あたしは、手品師のように指先以外の手の平に粉末の溶けやすい毒を用意しながら貞司と行動を共にする。


貞司とコンビニ袋に入った食料を持ち、車の中で食べる事にした。


二人は、それぞれ席に乗り込む。


「愛子、ちょっといいか?待って」


貞司は、そう言うと あたしの席の前の収納ケースを開けた。


「はい、これ ピアス
愛子に似合いそうなの選んだつもりなんだ。
最近 不安にさせてたから、婚約指輪の前の婚約するつもりのピアスと思ってくれ。
なんか照れるな…ははっ
まぁ、そんなんで…うん…



あたしは、あたしは……


「貞司…
ほんと?いいの?」


「俺の方こそ、受け取ってくれるかな?って。
愛子、もし受け取ってくれるなら、今 話さなければいけないことがあるんだ」


「もちろん、受けとるわよ!話しって?」


貞司は、戸惑いながら話しはじめた。


「まず、俺の保証なんだけど…
俺には、もう保証はないんだ」


あたしは、持っていた薬を落としそうになった。


「保証がない?って?じゃあ、貞司は、もう…」