一度の保証(短編集)

それからのあたしは、名札に岬と書かれた苗字の女性を目で追う。


追っていると、あたしはある事に気づいた。


一度も岬さんと貞司は、会話をしていない…


その事がより不安にさせた


かわいい子じゃない…岬さん


言われなくても分かる


聞かなくても分かる


岬さんは…
元カノなんだ


あたしは、貞司と岬さんがこれからいつまでかの期間、顔を合わせ、同じ空気の中 日を過ごすのかと思うと、狂い散りそうだった。


あたしは、極力 トリートメントだけでも訪れるようにした。


貞司は、あたしの行動を気にし、二人きりで久しぶりに逢っている時に言ってきた。


「愛子、どうしたんだ?トリートメントばっかしに来るなんて」


「だめだった?」


「俺の事 疑ってる?
確に あの中に元カノは居るけど、ほんとに今は 話すことも滅多にしないから」


「うん。分かってる。ただ、あたしが勝手に行きたくて行ってるだけだから。
でも、もう行かない!ごめんね」


貞司は、優しい目をして首を傾け笑い、あたしの頭を優しく優しくゆっくりと撫で言った。


「ごめんな。不安にさせて、次の休みは、また遠出しような」